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スリランカ・キャンディの仏歯寺に行くならプージャの時間に行くべき

キャンディの仏歯寺を訪れるなら、1日3回行われるプージャに時間を合わせるのが理想です。白壁と赤い屋根が美しい寺院建築、キャンディ王国の面影を残す旧王宮、キャンディ湖に面した景観だけでも十分に見応えはありますが、仏歯寺は過去の王都に残された史跡ではありません。現在も多くの人が祈りを捧げるスリランカ仏教の聖地であり、その姿が最もよく表れるのがプージャの時間です。伝統太鼓の音が堂内に響き、供物を携えた人々が本堂に集まり、仏歯を納めた黄金の舎利容器が祀られる内陣の扉が開かれます。仏歯寺を建物として見るだけではなく、今も続く信仰の中で見るために、プージャは外せません。


目次

仏歯寺はプージャで見る

仏歯寺の正式名はスリ・ダラダー・マーリガーワといい、釈迦の左の犬歯と伝えられる仏歯を祀っています。寺院はキャンディ王国の旧王宮に隣接しており、王の住まいと仏歯を安置する場所が同じ区域に設けられました。この配置からも、スリランカでは仏教信仰と王権が切り離せない関係にあったことがわかります。

1988年には「聖地キャンディ」として世界遺産に登録されましたが、仏歯寺は古い建築を保存しているだけの場所ではありません。毎日決められた作法に従って仏歯に花や食事が捧げられ、国内各地から訪れた参拝者が蓮やジャスミンを供え、手を合わせています。

その礼拝の中心となるのが、一般にプージャと呼ばれている儀式です。現地ではテーワ、またはテーワーワとも呼ばれ、早朝、午前、夕方の3回行われます。開始時刻が近づくと、ヘウィシと呼ばれる伝統太鼓が鳴り、銀の扉と金の扉が順に開かれます。観光客も参拝者と同じ堂内で儀式を見守り、仏歯を納めた黄金の舎利容器を拝観します。華やかな装飾を眺める通常の見学とは異なり、太鼓の音、白い服をまとった参拝者、花の香り、供物を捧げる所作が重なり、仏歯寺が今も信仰の中心にあることが伝わってきます。


1日3回の礼拝

プージャは毎日、午前5時30分から7時、午前9時30分から11時、午後6時30分から8時に行われます。早朝の儀式では午前5時15分ごろから太鼓が鳴り始め、花や器が整えられ、内陣で礼拝の準備が進みます。午前9時30分からの儀式は、仏陀に食事を捧げるブッダ・プージャです。灯明をともし、朝に供えた花を改め、ジャスミンの花と食事を供えます。夕方には花が新しいものに替えられ、蜂蜜、ショウガの汁、ギー、キトゥルヤシの糖蜜などが金銀の小さな器に盛られます。これはギラン・パサと呼ばれる供物で、仏陀に飲み物を差し上げる作法にあたります。3回とも同じ礼拝ではなく、時間帯ごとに内容と役割が異なります。

初めて仏歯寺を訪れる人には、午前9時30分からのプージャが向いています。午前9時ごろまでに寺院に着けば、履物を預け、服装を整え、拝観券を用意してから、落ち着いて本堂に向かえます。また、ツアーでは行程にちょうど良い夕方のプージャの時間に参拝することも多いようです。

プージャの開始時刻に門へ着く予定では、内陣の近くまで進むころには儀式が始まっていることもあるため、30分ほど余裕を取っておくのがよいでしょう。明るい時間なので、礼拝の前後には白壁の寺院、黄金の屋根、キャンディ王朝の彫刻、旧王宮周辺も見学できます。寺院の開門時間は午前5時30分から午後8時までですが、せっかくの機会ですのでプージャを観ておいた方が、聖地としてのキャンディの存在感がより深く感じられることでしょう。


仏歯が王都を決めた

仏歯は4世紀、インド東部のカリンガから王子ダンタと王女ヘーママーラーによってスリランカにもたらされたと伝えられています。王女が髪の中に仏歯を隠して運んだという伝承は広く知られており、スリランカに到着した仏歯は、当時のアヌラーダプラ王に奉納されました。

その後、仏歯を所有し、守護する者こそがスリランカを治める正統な王であると考えられるようになります。仏歯は釈迦の聖遺物であるだけではなく、王権と国家の正統性を示す存在となり、歴代の王は王宮の近くに仏歯を祀る寺院を設けました。仏歯を守ることは、仏教を守ることであり、同時に国の主権を守ることでもありました。

スリランカでは、異教勢力や外国から仏歯を守るために、歴史上何度も遷都が行われました。王都が変わったため仏歯も運ばれたのではなく、仏歯と王権を守るために安全な土地を選び、その場所に新しい王都と仏歯を祀る宮廷寺院が置かれたのです。

アヌラーダプラからポロンナルワ、ダンバデニヤ、ヤーパフワ、クルネーガラ、ガンポラ、コッテへと王都が移り、最後にキャンディに安置されました。古都の各地に仏歯を祀った寺院の跡が残っているのは、仏歯が王都に付随する宝物ではなく、王都を定める中心だったからです。スリランカの遷都の歴史は、仏歯を守り続けた歴史そのものといえます。


黄金の舎利容器

プージャの時間に内陣の扉が開くと、参拝者は花を捧げながら列を進み、仏歯を納めた黄金の舎利容器を礼拝します。日々のプージャで仏歯そのものが直接示されるわけではなく、宝石を施した7重の金製容器に納められています。容器は仏塔を思わせる姿をしており、内陣を飾る象牙彫刻、金色の柵、布を重ねた天蓋とともに、仏歯がどれほど厳重に守られてきたかを物語っています。舎利容器を拝観できる時間は長くありませんが、国内各地から集まった参拝者が蓮やジャスミンを捧げ、代々受け継がれた作法に従って祈る場に立ち会うことは、通常の寺院見学とはまったく異なる光景です。

プージャは観光客に見せるために設けられた催しではありません。早朝には花と器を整え、午前には食事を捧げ、夕方には飲み物にあたる供物を用意します。仏歯を遠い時代の遺物として扱うのではなく、仏陀が今そこにいるかのように敬い、食事や飲み物を差し上げるのです。金銀の器に触れる者、供物を運ぶ者、太鼓や法螺貝を鳴らす者、内陣の扉を開閉する者には、それぞれ決められた役目があります。王宮で行われていた礼拝の作法が1000年以上にわたって受け継がれ、現在も毎日の儀式として続いています。


キャンディ最高位の聖地

キャンディはシンハラ王朝最後の都であり、1815年まで王国の中心でした。仏歯寺が旧王宮に隣接しているのは、王が仏歯の守護者として国を治めた歴史をそのまま示しています。王政が終わったあとも仏歯の管理と礼拝は途切れず、現在は主要な2つの僧院の最高位僧と、在家の管理責任者によって守られています。スリランカの人々にとって仏歯寺は、古都キャンディを代表する観光地という範囲には収まりません。国の歴史、仏教信仰、王権の記憶が残り、今も多くの参拝者が祈りを捧げるスリランカ最高位の聖地なのです。



キャンディの仏歯寺を訪れるなら、プージャの時間を外すのはもったいないと言えます。白い服をまとった参拝者が花を手に本堂を進み、太鼓の音が石造りの回廊に響き、内陣の扉が開かれる時間には、遷都を重ねて守られてきた仏歯が、今も礼拝の中心にあることがはっきりと表れます。プージャを中心に行程を組み、儀式の前後に寺院建築や旧王宮を見学すれば、キャンディのみならずスリランカ史を俯瞰することになり、スリランカの歴史だけでなく、文化や習俗、仏教についてもより深く知ることができるでしょう。仏歯寺は建物だけを見る場所ではなく、スリランカが守り続けてきた至宝を、現在の信仰の中で拝観する場所なのです。



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