スリランカ旅行の定番として多くの旅行者に知られる紅茶鉄道。緑の茶畑と山あいの景色を車窓から眺めながら高地へ向かうこの列車は、スリランカ旅行の象徴的な体験として長年人気を集めてきました。
しかし、2026年5月現在、キャンディからナヌオヤ間の運行は停止しており、2027年1月まで再開されない可能性があります。この区間を旅程に組み込もうと考えている旅行者は、事前にしっかりと状況を把握しておく必要があります。

なぜ運休が続いているのか
運休の主な原因は、近年スリランカを繰り返し襲った豪雨による鉄道インフラへの被害です。土砂崩れ、路盤の流出、線路の沈下、橋や暗渠の損傷、浸水、倒木など、被害は広範囲にわたっています。とりわけキャンディからヌワラエリヤ方面へ向かう山岳区間は、急峻な地形を走るため、復旧作業に時間がかかります。線路上の土砂を取り除くだけでなく、路盤の安全確認、橋の補修、排水設備の整備など、多くの工程を経なければ通常運行を再開できません。
現地報道などを見ますと、土砂崩れなどの影響がいまだ大きく、復旧作業が続いていますが、写真で見るかぎり、まだ少し時間がかかりそうな様子がうかがえます。
スリランカ鉄道は全国の路線を区間ごとに段階的に復旧させる方針を取っており、北部線やバッティカロア線など他の路線でも順次作業が進められています。しかしキャンディからナヌオヤ間については、公式な再開日がいまだ発表されていません。2027年1月という時期が一部で目安として挙げられていますが、これは公式に確定した再開日ではなく、復旧の見通しを示す参考情報にすぎません。旅行の計画を立てる際は、この点を前提に考える必要があります。

運休中のヌワラエリヤへの行き方
キャンディからナヌオヤ間が運休していても、ヌワラエリヤへの旅行そのものが不可能になるわけではありません。代替手段として最も現実的なのは、キャンディから専用車を利用した移動です。
所要時間はルートや途中の立ち寄り先によって異なりますが、おおむね3〜4時間ほどです。道中には茶畑が広がる景色、落差のある滝、紅茶工場など、車を止めて立ち寄れる場所が数多くあります。列車の車窓からは眺めるだけになる景色も、車移動であれば好きな場所で止まって写真を撮ることができます。旅の柔軟性という点では、車移動に一定の利点があります。
また、列車を利用する場合でも、ナヌオヤ駅はヌワラエリヤの市街地から離れた場所にあるため、駅に到着した後は別途車での移動が必要になります。つまり、列車が使えない時期にキャンディから専用車で直接ヌワラエリヤへ向かったとしても、旅程全体への影響は限定的です。紅茶鉄道の乗車体験そのものにこだわりがなければ、車移動で旅の内容をほぼ同等に組み立てることができます。

ヌワラエリヤでできること
紅茶鉄道に乗れなくても、ヌワラエリヤ自体の魅力は変わりません。標高約1,900メートルに位置するこの高地の町は、イギリス植民地時代の面影を残す建物、整備された庭園、涼しい気候が特徴です。スリランカの他の地域とは異なる雰囲気を持ち、旅行者にとって印象に残る滞在地のひとつです。
周辺では紅茶工場の見学ができます。茶葉の摘み取りから乾燥、発酵、選別までの工程を見学でき、できたての紅茶を試飲する機会もあります。グレゴリー湖では湖畔の散策やボートを楽しめます。また、ヌワラエリヤから少し足を延ばせば、ホートンプレインズ国立公園への日帰り旅行も可能です。断崖から眼下の景色を見渡すワールズエンドは、訪れる価値がある場所として多くの旅行者に知られています。
また、紅茶鉄道を楽しみにしている方も多いと思いますので、ヌワラエリヤでの乗車は諦め、代替コースとして、その先のエッラ、バッドゥーラ方面で楽しむという方法が現実的かもしれません。

旅行の準備で気をつけること
紅茶鉄道への乗車を希望している場合、旅行の計画段階でいくつかの点を確認しておくことをすすめます。
まず、旅行会社に手配を依頼する際は、「列車が運行していれば乗車、運休であれば専用車で移動」という条件をあらかじめ確認し、どちらの場合でも旅程が成立するよう準備しておくことが重要です。鉄道の復旧状況は気象条件や工事の進捗によって変わることがあり、予定通りに進まないケースも十分に考えられます。
次に、出発直前にスリランカ鉄道の公式サイトで最新の運行情報を確認してください。インターネット上では「まもなく再開」といった情報が広まりやすいですが、公式発表に基づかない情報も少なくありません。観光ブログやSNSの情報だけを頼りに判断するのは避け、必ず公式情報を確認する習慣をつけてください。
また、運行しているエッラやバドゥッラ方面へ旅程を延ばす場合も注意が必要です。キャンディからナヌオヤ間が運休していると、その先の区間への接続にも影響が出る可能性があります。旅程全体を通じて、鉄道に依存しすぎない計画を立てておくことが、現地でのトラブルを防ぐことにつながります。

まとめ
キャンディからナヌオヤ間の紅茶鉄道は、2027年1月まで運休が続く可能性があります。公式な再開日はまだ発表されておらず、復旧の見通しも気象や工事の状況によって変わり得ます。
この区間を旅程に組み込みたい旅行者は、鉄道が運行していない場合の代替手段として車移動を視野に入れ、どちらの状況でも旅が成立するよう準備しておくことをすすめます。ヌワラエリヤへの旅そのものは、列車が使えない時期でも十分に楽しめます。紅茶鉄道の乗車にこだわらず、高地の景色と茶畑の風景を別の形で楽しむ旅の組み立て方を、出発前に検討しておいてください。


