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コモド島の海況は乾季であっても不安定

コモド島の乾季は、一般に4月頃から10月頃まで続きます。雨が少なく、青空の日が多くなる7~8月は、コモド島旅行のハイシーズンです。パダール島の丘は乾季らしい褐色の景観に変わり、コモドドラゴンの観察、ピンクビーチ、マンタポイントなどを組み合わせる日程にも適した季節として知られています。しかし、ここで間違えたくないのが、乾季だからコモド島の海も穏やかとは限らないことです。晴れていて雨が降っていなくても、ラブアンバジョからコモド島やパダール島へ向かう海では高い波が立つことがあります。

2026年は、その特徴が特にはっきり表れています。7月から8月にかけて、コモド島、パダール島方面への観光船の航行が何度も止まりました。8月上旬にコモド島へ向かった際にも、空は乾季らしい天候だった一方、海上ではこの季節としては波が高く、船が大きく上下する場所がありました。その後、コモド島とパダール島方面は航行規制となり、8月7日から10日まで船の航行許可が出ない状態が続きました。8月11日に再開されています。コモド島旅行では「雨季か乾季か」だけを見るのではなく、風と波、潮や航行許可を別々に考える必要があるのです。


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乾季と海況は別の話

コモド島の乾季を説明するとき、「雨が少ない」「晴天が多い」「観光に適した季節」という言葉がよく使われます。これは陸上の天候についてはその通りです。ところが、海況まで同じ条件になるわけではありません。コモド国立公園はフローレス島の西側に大小の島が連なる海域にあり、ラブアンバジョからパダール島、コモド島へ向かう途中には、狭い海峡と広く開けた海域が交互にあります。場所によって風の受け方も波の高さも変わるため、ホテルの前から見える海が静かでも、コモド島まで同じ状態が続くとは限りません。

特に7~8月は乾季の真ん中ですが、インドネシア南部ではオーストラリア側から東~南東の風が吹く季節でもあります。雨をもたらす湿った風ではなく、乾いた空気を運んでくるため天候は晴れやすくなりますが、風そのものが弱いわけではありません。コモド国立公園周辺では、この南東風が強まると海面が荒れ、南側の海域では波が高くなることがあります。晴天と高波が同じ日に現れることがあるため、「今日は晴れているから海も大丈夫だろう」という判断はコモド島では当てにならないのです。


7~8月にも航行禁止

2026年の状況を見ると、乾季だから海況が安定するとは言い切れないことがよく分かります。7月27日から30日まで、コモド島、パダール島などへの観光船は、強風と高波が予想されたため航行できませんでした。この期間は比較的近いリンチャ島方面だけが認められ、7月31日にコモド島を含む各方面への航行が再開されています。しかし、それから1週間ほどで再び海況が悪化しました。8月6日から規制が始まり、その後の航行通達では8月7~10日までコモド島とパダール島方面への許可が出ず、観光船はリンチャ島方面までに制限されました。

8月上旬の規制では、南東からの風が最大26ノット、波は最大2.6mに達する予報が出ていました。これは雨季の話ではありません。年間でも観光客が多い8月の出来事です。しかも2026年7月には、それ以前にも航行停止と再開が繰り返されています。コモド島のベストシーズンを5月から9月、あるいは4月から10月と紹介する情報は多くありますが、これは降水量や観光全体を基準にした季節区分です。船で移動するコモド島観光では、ベストシーズンの中にも海況が変わる日があると理解しておいたほうが、現在の状況に合っています。


南東風と海峡の影響

コモド島周辺の海は、単純に波の高さだけで語れません。フローレス海側とインド洋側の海水が島々の間を通り、潮の満ち引きによって強い潮流が発生します。コモド国立公園がダイビングやシュノーケリングで豊富な海洋生物を見られる場所になっているのも、この海水の交換と潮流が関係しています。同時に、船で移動するときには、海峡ごとに海面の状態が変わる原因にもなっています。ラブアンバジョ周辺、リンチャ島周辺、パダール島南部、コモド島周辺では、同じ時刻でも波や風の条件が同じとは限りません。

特に注意したいのが、ラブアンバジョ港周辺の海だけを見て判断しないことです。湾内は島や陸地に囲まれているため穏やかでも、パダール島やコモド島へ向かうにつれて風を受ける海域が増えてきます。南東風が強い日は、南側に開けた海域ほど影響を受けます。潮の向きと風向きが重なれば、短い間隔で波が続くこともあります。反対に、同じ日でも島陰では静かな海面になる場合があります。コモド島の海況を知るには「ラブアンバジョの天気」だけでは足りず、コモド国立公園のどの海域を航行するのかまで見る必要があるということです。


安全判断も慎重になった

2026年に航行規制が目立つ背景には、海況だけでなく、行政側の安全に対する判断も関係しているとみられます。2025年末にはパダール島周辺で観光船の重大な事故があり、その後、ラブアンバジョの観光船運航について安全確認が強化されました。2026年からはコモド国立公園内で観光船が夜間に移動することも制限され、日中であっても気象予報、陸上監視地点からの海況、航行中の船から寄せられる情報などを確認したうえで、航行許可が判断されています。

そのため、波が少し高くなっただけで自動的にすべての船が止まるわけではなく、反対に船長が「行ける」と考えても、港湾当局から航行許可が出なければコモド島やパダール島へ向かうことはできません。2026年8月の規制期間にも、リンチャ島方面は航行が認められている一方、パダール島とコモド島は対象外となりました。これはコモド国立公園全域を一括して閉鎖するのではなく、それぞれの海域の条件を見て判断しているためです。事故後は安全を優先した判断が以前より慎重になっているとみられ、乾季であっても予報次第では早い段階で航行を止める現在の運用を知っておく必要があります。


日程には余裕を持ちたい

コモド島旅行を計画するとき、7~8月だから予定どおりコモド島とパダール島へ行けると決めてしまうのではなく、海況によって日程が変わる可能性を最初から考えておくといいでしょう。特にラブアンバジョ滞在を1泊だけにして、到着翌日に日帰りボートツアー、その日の夕方便でバリへ戻るような日程では、航行規制が解除された翌日に変更する余地がありません。コモド島旅行そのものを目的にインドネシアへ行くのであれば、ラブアンバジョには数日滞在し、海況を見ながらコモド島観光の日を調整できる日程が合っています。

航行禁止になったからといって、ラブアンバジョ滞在そのものが成立しなくなるわけでもありません。2026年の規制ではリンチャ島方面が認められた日もあり、海況が改善すればコモド島、パダール島方面の航行も再開されています。大事なのは、何月なら絶対に大丈夫という考え方ではなく、その日の海を基準にすることです。コモド島の乾季は、晴天の日が多く、パダール島の景観やコモドドラゴン観察を楽しむハイシーズンであることに変わりはありません。ただし、乾季と穏やかな海は同じ意味ではありません。 2026年の7~8月に繰り返された航行規制を見ると、この違いは以前より明確になっています。コモド島旅行では季節だけで判断せず、出発直前の海況と航行許可まで確認して日程を組む。それが現在のコモド島を旅行するうえで、最も現地の状況に合った考え方だと思います。



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